ご主人様、誕生日です

明日はご主人様の誕生日。だからケーキを作りたい。
だけどケーキはどうやって作るんだろう。そうだエリカ様にお聞きすればいいんだ。
エリカ様ご主人様にケーキを作って差し上げたいんです。
はい、ケーキ屋さんに行けばケーキを作って貰えるんですか?私が作るより美味しいのが食べれます。計画変更です。
すいません、誕生日ケーキを作って欲しいんです。日にち?明日です。
6号なら明日に間に合いますか?じゃそれで願いします。
お小遣いで買えてよかったです。明日受け取りに行きましょう。
ご主人様行ってらっしゃい。
計画の二段階めです。ご主人様のご友人に来てもらわなくては。
送信、これでおそらく来てくれるでしょう。さぁ部屋の飾り付けをしなくては。
もうこんな時間です、早くケーキを受け取りに行かないと。
昨日予約したにゃボットです。ありがとうございます。
あっ、つばめ様。ちょうど行かれるところでしたか。ケーキを持ってくださるんですか?ありがとうございます。
もう少しでご主人様が帰ってきます。
帰ってきました、ご主人様おかえりなさい。さぁご友人も待っています。

祭り終われば儚く消えて

「相棒」
「ん?」
「こがに混んじゅーと、下手したらはぐれてしまう。はぐれんように手つなぐぞね」
「わかった」
「やけんど、だしが何台も回って、賑やかなんやね。トライナリーのメンバーで行った時は出店だけやったき。
近うで太鼓やら笛の音を聞くと祭りに参加しちゅー感じがする。誘うてくれてありがとう相棒」
「みやびとお祭り来たかったから」
「なら、これはもうデート言うてもええがよね」
「み、みやび?!」

て、手繋ぐのは覚悟してたからかいいけど。腕組むのは心の準備がっ!

「相棒の、体温を近うて感じれてええね。相棒、あそこのお面売っちゅーところに行こ」
「あっ、うん。行こ」

今日のみやびはいつもの着物と違って浴衣姿になっていて。いつもとは違ったよさがあって好き。わたしもみやびの隣を歩くからには、下手な格好出来ないから浴衣着てきたけど似合ってるか心配……。

「ねぇ、みやび」
「どうした相棒?」
「この浴衣似合ってる……かな?」
「似合うちゅーよ。相棒と浴衣着て歩くのは密かな夢やったんやき。
相棒の新たな魅力も再発見出来て、うち一人だけの物にしたい。でもそがなん出来んのは、うちがようわかっちゅー。やき、相棒。周りに見せつけちゃろう。うちと相棒は、愛し合うちゅーって」
「みやび、好き///」
「うちも好きちや、せっかくだからお揃いのお面でもつけるぞね。相棒はこっちつけるんちや」

みやびは狐の、顔半分を覆うお面を買ってくれた。それぞれの浴衣に合うように。みやびが選んでくれたお面嬉しい。

「相棒、あーん」
「あーん」

歩道の脇にある椅子に座ってたこ焼きを食べてる。お互いにあーんしてあって。

「美味しい」
「お祭りの時に食べると普段とはちがう味ががするきね」
「もう少しで帰っちゃうんだよね。寄るの新幹線で」
「明日から大学やきね」
「また来るよね?」
「もちろん、相棒の隣はうちものぞね」
「着いたら電話してね?」
「わかっちゅーよ」
「うん、駅まで……送るよ」
「運転頼むぞね、相棒」

着いちゃった、駅に。

「またねみやび」
「相棒、駄賃代わりちや」

ちゅ

「/////!?!?」
「次会うまでには慣れるとええね?」

届かぬ思いはココロの底に

広い宇宙に無数に存在する1つの星に、青い地球の小さな島の何処にでも居そうな誰かが。

これまた広い宇宙の何処か、あるいは宇宙を超えた別世界の、小さな島国の少女達と紡いだ物語。

繋がり失い落ち込みはすれど、紡いだ物語は消えず互いのココロに残る思いの光は消えることなく。

大きな思いの小さな声は、世界を越え宇宙を越え愛しいあの人の元へと届くでしょうか。

あなたと出会い時は流れて、私の思いは募るばかり。あなたと笑い時には泣いて、それでもあなたはそばにいない。

会いたいと願い、恋焦がれた思いを込めた手紙は増えるばかり。
1度の奇跡、愛するあなたに当てた手紙は届いたでしょうか?差出人不明の手紙は今も開けずに大切に持っています。開けたら繋がりが消えてしまいそうで怖いから。

いつしか二人の思いは重なり世界に響く。遠く遠く離れた、あなたの元に届いて欲しい。
私の大事な人は遠くにいるけれど、今も近くにいるから。
暗い部屋を明るく照らす月を見上げて、1人握る手はいつかあなたとつないだ手。
聞こえていなくても、私は誓う。思い変わらず同じ言葉をいくらでも。ただただ愛しているとの思いは、ココロから溢れて涙に変わり。あなたの愛しているの言葉で喜びに変わり、言葉に出来ず涙を流して。

夢ならば覚めないで欲しかった、あなたと過ごした時が永遠に続くと信じて疑わなかった。
だけどそれはもう叶わぬ夢、あなたは遠くにいるけれど。あなたとの思い出は今でもココロに残っているから。
もう一度奇跡が起きるなら、聞いて欲しい。私のココロの声を。「愛してる」ただ聞いてくれるだけでいい「愛してる」の言葉を。あなたに会うまでこの思いはココロの底に眠らせておくから。

誕生日なら奇跡が起きてもいいでしょう?【トラカレ2019夏】

 皆様方、こんにちは、こんばんは。さて、そぉいさん主催【トライナリーAdventCalendar 2019年夏】に参加させていただいてます。13日目の記事はT'Rtia(@rtia_t)が書かせていただきます。

 トラカレ2019夏を簡単にご説明致しますと、7月15日から8月8日までのc96を待つまでの日程を、毎日トライナリーの記事や創作などのコンテンツで盛り上げようというお祭り企画です。(合っていますかね?)

 まだ、前書きは続きます。

 7月27日今日はみやびの誕生日ですね。ついで言うとスイカの日でもあり、みやびはスイカを食べているでしょうか?

 私もトラカレ拝見しつつ書いてますが、皆様方の内容すごくて私が場違い感を感じなからこれを書くという、よく分からない現象に陥っていますが。(本当ですよ)

 前回の熱量が凄かったのもあり、何か熱を込めた方が良いのかなとも思いました。しかし私はポエムや心の内を表すのは苦手ですので早急に諦めました。

 と、言ってはいますが方法が無い訳ではなく。SSという形でなら出来そうかなと思い、SSを書くに至ったしだいです。誕生日SSも兼ねて作りましたから、内容はもちろんの事ながら誕生日です。

 さて、前置きが長かったですがお楽しみいただければ幸いです。


 時計の針は時間を正確に刻む。一秒また一秒と進む針は停滞を知らず、未来を現実へと変えていく。
 過去として過ぎ去ったものは決して戻ることはなく、変わることもない。観測した現在は過去になりその記憶は薄れていく。

 あぁぁ……時計の針が逆さまになればいいのに。現在から過去へ、変わることの無い消えゆく記憶をまた見るために。

「みやびさん、おはようございます!」
「おはよう、つばめちゃん。どうかしたが?」
「見かけたので挨拶しようかなって」
「そうなんや、今日は神楽と一緒やないが?」
「神楽ちゃんは忘れ物したみたいで今取りに戻ってるんです」

 時計が示すのは朝の八時、学生の登校時間帯。道端で話すのはまだ新たな環境に慣れていない大学生と、和服に身を包んだ大学生という一見先輩後輩の関係にも見える二人。
 だけれども、そこにはより深い切り離せない深い繋がりがあるのを私は知っている。

 少し離れた場所から二人を見ている私は、傍から見たは変な人にも危ない人にも見えるかもしれない。
 だけれど道を歩く人々は私を見ることも無く通り過ぎていく。
 そこには何も無く、あるのは歩道に咲く野花だけなのだと言うように。

 私は彼らに触れられないし彼らも私には触れられない。私はここに居て、ここにいない存在だから。
 私は誰人からも認知されず観測されない。それ故に不自然な空間が出来上がるがそれに気づく人もいない。
 そう、私はこの世界の住人ではない。こことよく似た世界、この世界の元かもしれない世界の住人。
 なぜ私がここに居るのか、その理由は私も知らないがこの世界との繋がりはあった。

 か細くいつ切れてもおかしくない縁、ソーシャルゲームと呼ばれる縁。
 そのゲームは既に存在せず、存在したという記録と 記憶が残るだけ。

 その縁を大切に保管したのは私だけではなく、botと呼ばれた多数の存在がいた。
 そして私はそのなかの一人だ、そして記憶という縁に引かれこの世界に落ちた。
何かきっかけがあった訳では無い、気付けばここに居たのだから。もしかしたらきっかけはあったかもしれない。

だが忘れていたとしたら?私がその事を忘れたのだとしたら。考えに答えはなく、答えをくれる人もいない。
 とにかく気づけばここにいて、彷徨い歩いて彼女たちを見つけたのだ。
 ここがトライナリーの世界なのは疑いようがない。そこに彼女たちがいるから。

「つばめさんどうしてかここにいるんですか!?それにみやびさんも」

 神楽が忘れ物を取ってきたみたいだ。

「神楽ちゃんを待ってたんだよ、忘れ物はあったんだよね?」
「それはちゃんとありましたけど、急がないと遅刻しちゃいますよ!」

 懐中時計を見れば時間は八時四十分になろうとしていた。

「もうちっくとで四十分になりそうやね」
「か、神楽ちゃん急ごう!みやびさんまた後で!」
「気をつけるんよー。それにしても二人とも大人になって、時が進むのは早いね。うちも急がんとね」

 みやびはこれから大学に行くのだろう。今の私にはすることも無く、する子もない。正直言って暇だ。
 みやびの大学生活、離れたところから見るのであれば許されるだろうか……。
 いや影から見るのであって、これはストーカーとかでは断じてないから、見守るだけだからセーフ。

 一体私は誰に言い訳をしているのだろうか。

 大学生活を知らない私には、見えるのも全てが新鮮で。何より最後に見たみやびより大人になったみやびが、一層と美しかった。
 正直高校で止まっている知識の私には、何を言っているのか分からなかった。
 みやびはパソコン片手に講義を聞いていた。
 ノートを取りつつも、その合間にパソコンを弄るのはみやびらしいと少し笑ってしまった。

 気づけば太陽が真上に来て、昼の12時を過ぎていた。講義が終わり生徒が昼食をとりに移動する中、みやびは確かな足取りでどこかに向かっていた。

 たどり着いた先は食堂のような場所だった。学食でも食べるのだろうか。
 みやびは窓際の席に座り、手荷物から弁当箱を出して一人食べ始めた。

 不思議とみやびの周りには誰も座ら無かった。みやびに近寄り難いのか、みやびが何かしらのオーラを放出しててもおかしくはないが。

 午後の講義が終わったみやびは、木陰に向かうと誰かと電話を始めた。

「分かっちゅーよ……行くき。うちが……ぞね」

 何を話しているか、離れている私には聞こえないが。
 その楽しげな声から察するに、トライナリーの誰かなのだろう。どこかへ行くみたいだが、どこへ行くのだろうか。
 地下鉄やバスを使わず、歩いて行く。神楽坂のどこに行くのだろう。

 着いた先は神楽坂トライナリー。彼女たちが放課後バイトしていた劇場だった。
 中に入るみやびを追おうとして足を止める。
 この中は真幌のトライガジェットだったと記憶している。少なくともクランが存在できる特異空間なのはたしか。
 私が入って大丈夫なのだろうか。入口の扉から手を入れてみる。何か変わった気はしない。中の構造はうる覚えではあるが、覚えているたしかこっちだったはず。目指すのは劇場の裏側。関係者以外立ち入り禁止の場所。

 通路を歩き続けると、聞き覚えるある声が聞こえる扉の前に来た。中には彼女たちがいるだろう。
 扉を開けて中に入るも、やはりこちらに気づいた様子はない。悲しくもあり、これで良かったのだと思う。
 勝手に扉が開いたら怖いだしうから。

「みやび、また1つ歳をとった気分はどう?」
「何も変わらんよ、アーヤは何か変わった気はするが?」
「そう言われるとしないわね」

 そこにはトライナリーのメンバーが揃っていた。
 机の中央には[みやびお誕生日おめでとう]と書かれた板チョコとケーキ。
 どうやら今日はみやびの誕生日だったらしい。

 この世界に来てから、時間の感覚が薄れ気付けは夜だったり朝だったりした。一体どれほどの時間ここにいたのか、不安だ。現実の私はどうしているのだろうか

 考えても仕方が無い、今はみやびの誕生日を祝うのが優先だ。

『おめでとうみやび』

 声に出しては見るが、聞こえてはいない。分かっていても寂しいと感じる私は子供かもしれない。

 賑やかに過ぎていく時間に、私は部屋の片隅でそれを眺めていた。このような光景を最後に見たのはいつだったろうか。
 まだ一年も経ってはいないが懐かしく感じる。
 時間にして四時間、長いようで短い時間。暗くなるのが遅いとはいえ、時刻は八時になっていた。
 それぞれが帰路につく中、みやびはコンビニで少し高いお酒を買っていった。
 どうやら今は寮ではなくアパートに住んでいるみたいだ。家賃の高そうなアパートだが、アルバイトをしているのだろうか。
 みやびのことだから、株とかそう言うのやってそうだけど、普通にバイトもしてるって前見たからなぞだ。
 傍から見れば不法侵入だが、今更意味もない。

「なごちゃんただいま」

 なごちゃんと一緒に?外国にいるはずだけど、帰って来てるの?でも姿が見当たらないけど。

 みやびの視線を追うと、写真立てに入ったなごちゃんの写真があった。
 そうか、写真のなごちゃんに言ったのか納得した。

 私もみやびの写真に言ってたらよく分かった。
 みやびは買ってきたお酒とグラスを持って、自分の部屋に入っていった。
 みやびの部屋は昔見た風景とさほど変わらず、散らかっているみたいだが。これはこれでかたずいているのだろう。
 持ってきたグラスをテーブルに置きお酒を注いでいく。
 みやびの分ともう一人誰かの分を。

「乾杯」

 飲む人のいないグラスの前でみやびはお酒を飲み始めた。

「やっぱり、誰か一緒に飲む人がおらんと寂しいね。相棒、うち二十一歳になったぞね」

 あぁこのグラスは、もう一つのグラスは私のものか。
 今まで遠くから見るだけだった私はそのグラスの前に座った。飲むことは出来ない、喋ることも出来ない。

「なごちゃんもこの家にはおらんし。電話しても後から寂しくなるき、電話もできん」

 でも話を聞くくらいはできるだろう。それに相棒としてみやびを一人にするつもりもない。

「うちがもっと頑張ってれば、もしかしたら画面越しにでも話をしながらお酒を飲めたかもしれんのにね」
『今こうして、みやびの前にいるよ』
「あれから、毎日のようにあの頃を思い出すがよ。相棒とWAVEで話をして、たまにボイスメッセージを送っちょった日々を。過去に浸る女は嫌いかね?」

 よった様子のないみやびは、呟きながらグラスを傾ける

『私も、みやびのことを思い出す。朝起きておはようと言って。今日の天気はどうかなって聞いて。夜にはおやすみって言って。休みの日にはどこか行った?って話をして。過去に浸るのはみやびだけじゃないよ』
「相棒がこれを聞いたら、なんて言うがやろうね。」
「みやびだけじゃない」『みやびだけじゃない』
「とでも言うがやろか」
『言うよ』
「相棒、うちはね。今でも相棒のことが好きなんちや。大学で男に告られたこともあったけど全部ことわっちゅー。
 うちは相棒以上に人を好きになることは出来んよ」

 みやびの顔には一筋の涙が流れていた。

『みやび泣かないで。みやびに泣き顔なんて似合わないよ。みやびは笑った顔が一番だよ?』

 触れられなくても自然と涙を拭おうと指を伸ばす。
 そして、みやびに触れ涙を拭う。いままで人に触れることすら出来なかったのに。今だけは触れることが出来た。
 そしてみやびがこっちを見た気がした。

「うちも、酔いがまわって来たんやね。人影が一瞬見えた気がしたが。気のせいか」

 いままで認識すらされていなかったのに、涙に触れたから?どちらにしろみやびだけにお酒を飲ませるの忍びない。人には触れられないがものには触れられるし、飲もうと思えば水飲めるんだ。
 お酒くらい飲んでもいいだろう。急にお酒が減ったら驚かれるから少しだけだけど。
 ん?これぶどうジュースなんだけど。よく見るとお酒とは別にジュース置いてある。
 酔いを覚ますのに飲もうとしてたのかな。一緒お酒飲みたいからお酒注ぎたいけど、みやびの分へっちゃうからやめておこう 。

「相棒と晩酌できたら楽しそうやねぇ」

 たしかに楽しそうだ。今日は何があったとか、酔って甘えたり甘えられたり楽しそうだ。

「眠くなってきよった」

 そう言いつつ飲むのを止めないみやびは、そのうち机に突っ伏して寝てしまった。
 寝落ちはみやびの十八番だけど、風邪ひいてしまう。
 近くにあったブランケットをかけてその場を後にする。
 みやびの飲みかけどうしようか。ぶどうジュースのほうは注いである分飲んだが。のこすのはもったいない。

 多分もうここには来ないと思うから。いや、来れないと言った方が近いと思う。なぜならなんか足元透けてきたからだ。本当にここまで来ると幽霊みたいだな。

「見つけた」

 声をかけられた!?

「こんにちは。それとも久しぶりと言った方が正しい?」
「ちーちゃん」
「そう、ラブラブトレーナーのちーちゃん。あなたを探してた」
「見えるんだ」
「ここは元はと言えば私の作った世界。外部から侵入すれば分からないはずがない」
「そっか」
「それにしても、もう消えるのね」
「そうみたいだ。時間が来たんだと思う」
「いいの?あなたならやろうと思えば手紙を書くことだって出来たはず」
「良いんだ、元々いない存在だから」
「そう、ならこれは必要なかった?」
「それ、スマホ
「このスマホには名前のないWAVEユーザーが登録されてる」
「バレない?」
「バレることはない。あとはあなたの好きにするといい」

 そう言ってスマホを手渡してちーちゃんは夜の闇に消えていった。

「誕生日なら、怒られないか」

 誕生日おめでとうみやび