祭り終われば儚く消えて

「相棒」
「ん?」
「こがに混んじゅーと、下手したらはぐれてしまう。はぐれんように手つなぐぞね」
「わかった」
「やけんど、だしが何台も回って、賑やかなんやね。トライナリーのメンバーで行った時は出店だけやったき。
近うで太鼓やら笛の音を聞くと祭りに参加しちゅー感じがする。誘うてくれてありがとう相棒」
「みやびとお祭り来たかったから」
「なら、これはもうデート言うてもええがよね」
「み、みやび?!」

て、手繋ぐのは覚悟してたからかいいけど。腕組むのは心の準備がっ!

「相棒の、体温を近うて感じれてええね。相棒、あそこのお面売っちゅーところに行こ」
「あっ、うん。行こ」

今日のみやびはいつもの着物と違って浴衣姿になっていて。いつもとは違ったよさがあって好き。わたしもみやびの隣を歩くからには、下手な格好出来ないから浴衣着てきたけど似合ってるか心配……。

「ねぇ、みやび」
「どうした相棒?」
「この浴衣似合ってる……かな?」
「似合うちゅーよ。相棒と浴衣着て歩くのは密かな夢やったんやき。
相棒の新たな魅力も再発見出来て、うち一人だけの物にしたい。でもそがなん出来んのは、うちがようわかっちゅー。やき、相棒。周りに見せつけちゃろう。うちと相棒は、愛し合うちゅーって」
「みやび、好き///」
「うちも好きちや、せっかくだからお揃いのお面でもつけるぞね。相棒はこっちつけるんちや」

みやびは狐の、顔半分を覆うお面を買ってくれた。それぞれの浴衣に合うように。みやびが選んでくれたお面嬉しい。

「相棒、あーん」
「あーん」

歩道の脇にある椅子に座ってたこ焼きを食べてる。お互いにあーんしてあって。

「美味しい」
「お祭りの時に食べると普段とはちがう味ががするきね」
「もう少しで帰っちゃうんだよね。寄るの新幹線で」
「明日から大学やきね」
「また来るよね?」
「もちろん、相棒の隣はうちものぞね」
「着いたら電話してね?」
「わかっちゅーよ」
「うん、駅まで……送るよ」
「運転頼むぞね、相棒」

着いちゃった、駅に。

「またねみやび」
「相棒、駄賃代わりちや」

ちゅ

「/////!?!?」
「次会うまでには慣れるとええね?」